バーチャルオフィスを契約しようとしたら、意外にも審査で落とされた――そんな経験をした人は少なくありません。「ただ住所を借りるだけなのに、なぜ審査があるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。

実は、バーチャルオフィスの審査は年々厳しくなっています。今回は、審査に落ちる人の特徴と、スムーズに審査を通過するためのコツを解説します。

なぜバーチャルオフィスに審査があるのか

まず、審査が存在する理由を理解しましょう。

犯罪利用の防止

バーチャルオフィスは、詐欺や違法ビジネスに悪用されるリスクがあります。架空請求、マルチ商法、無登録の金融業など、過去に実際の事件が多数発生しています。

運営会社は、こうした犯罪に加担しないよう、利用者を慎重に選別する必要があるのです。

ビル所有者との約束

バーチャルオフィス事業者は、ビルのオーナーと契約する際、「怪しいビジネスには貸さない」という約束をしています。トラブルが起きれば、事業者自身が退去を求められる可能性もあります。

既存利用者の保護

同じ住所を使う他の利用者を守るためでもあります。一人でも問題のある利用者がいると、その住所全体の信用が落ちます。

法令遵守

犯罪収益移転防止法により、事業者は利用者の本人確認を厳格に行う義務があります。この法律違反には罰則があるため、審査は必須なのです。

審査で見られるポイント

バーチャルオフィスの審査では、何がチェックされるのでしょうか。

本人確認書類

運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど、顔写真付きの公的身分証明書が必要です。住所が最新のものか、有効期限内か、鮮明に撮影されているかが確認されます。

事業内容

どんなビジネスを行うのか、詳しく説明する必要があります。曖昧な説明や、違法性が疑われる事業内容は審査に通りません。

事業の実態

ホームページやSNSアカウント、過去の実績など、実際にビジネスを行っている証拠の提出を求められることもあります。

利用目的

法人登記、名刺への記載、ネットショップの特商法表記など、具体的な利用目的を明示する必要があります。

反社会的勢力でないことの確認

暴力団などの反社会的勢力との関わりがないことを、誓約書で確認されます。

審査に落ちる人の特徴

どんな人が審査で落とされるのでしょうか。

1. 身分証明書に問題がある

期限切れ、住所が古い、写真が不鮮明、本人と明らかに違う顔写真――こうした書類では審査に通りません。引っ越したのに免許証の住所変更をしていない人は要注意です。

2. 事業内容が曖昧

「コンサルティング」「マーケティング」など、抽象的な説明だけでは不十分です。具体的に何をするのか、どんな顧客に何を提供するのか説明できないと、怪しまれます。

3. 禁止業種に該当する

多くのバーチャルオフィスでは、以下の業種は利用できません。

  • 風俗営業
  • 探偵業
  • 人材派遣業
  • 金融商品取引業
  • 貸金業
  • 許認可が必要な業種全般

これらの業種で申し込むと、即座に却下されます。

4. 過去にトラブルを起こしている

他のバーチャルオフィスで料金未払いやトラブルを起こした経歴がある場合、業界内で情報共有されている可能性があります。

5. 反社チェックに引っかかる

データベースでの照合で、反社会的勢力との関連が疑われる場合、審査は通りません。

6. ホームページやSNSがない

完全に新規の事業でも、何の情報発信もしていないと、実態が確認できず審査に落ちやすくなります。

7. 連絡がつかない

審査中に追加確認の連絡をしても返信がない、電話に出ないといった場合、審査は進みません。

審査通過のコツ

スムーズに審査を通過するための具体的なコツを紹介します。

コツ1:身分証明書は万全に

審査に出す前に、以下を確認しましょう。

  • 有効期限内か
  • 現住所と一致しているか
  • 顔写真が鮮明か
  • 四隅がすべて写っているか

スマホで撮影する場合、明るい場所で、反射や影がないように注意します。

コツ2:事業内容を具体的に説明する

「Webマーケティング」だけでなく、「中小企業向けのSNS広告運用代行サービス」のように具体的に記載します。

さらに、以下の情報も添えると信頼性が増します。

  • ターゲット顧客
  • 提供する具体的なサービス
  • 料金体系の概要
  • 過去の実績や経験

コツ3:ホームページを用意する

簡単なものでも構わないので、事業内容を説明するWebサイトを作っておきます。NotionやWixの無料版でも十分です。

掲載すべき内容は、事業者名、代表者名、事業内容、連絡先などです。

コツ4:法人の場合は登記簿を準備

すでに法人化している場合、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)を用意しておくとスムーズです。法人番号も伝えられるようにしておきましょう。

コツ5:利用目的を明確にする

「法人登記に利用したい」「ネットショップの特定商取引法表記に使いたい」など、具体的な利用シーンを説明します。

コツ6:迅速に対応する

審査中の追加確認には、できるだけ早く返信します。24時間以内の返信を心がけましょう。レスポンスの速さは、ビジネスパーソンとしての信頼性を示します。

コツ7:正直に申告する

嘘や誇張は絶対にやめましょう。後でバレた場合、契約解除になるだけでなく、業界内でブラックリスト入りする可能性もあります。

コツ8:複数の候補を用意する

一つのサービスに固執せず、複数のバーチャルオフィスに同時に申し込むことも検討します。審査基準はサービスごとに異なるため、一つに落ちても別のところで通る可能性があります。

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審査が比較的緩い・厳しいサービスの見分け方

サービスによって、審査の厳しさは異なります。

審査が厳しい傾向のサービス

  • 一等地の高級バーチャルオフィス
  • 銀行口座開設実績を強調しているサービス
  • 老舗で実績のある大手サービス
  • 月額料金が高めのサービス

これらは既存顧客の質を保つため、審査が慎重です。

審査が比較的緩い傾向のサービス

  • 格安バーチャルオフィス
  • 新規参入したばかりのサービス
  • 顧客獲得を積極的に行っているサービス

ただし、審査が緩いということは、質の低い利用者も多い可能性があり、結果的に銀行口座開設などで不利になる場合もあります。

審査期間はどのくらいか

通常、審査には以下の時間がかかります。

  • 最短:即日(書類に不備がない場合)
  • 通常:1〜3営業日
  • 追加確認が必要な場合:1週間程度

急いでいる場合は、申し込み時に「急ぎで審査をお願いできますか」と相談してみましょう。

審査に落ちた場合の対処法

もし審査に落ちてしまったら、以下の対応を検討します。

落ちた理由を確認する

可能であれば、理由を教えてもらいます。すべてのサービスが理由を開示するわけではありませんが、聞いてみる価値はあります。

別のサービスに申し込む

審査基準は各社異なるため、他のサービスなら通る可能性があります。

事業内容を見直す

禁止業種に該当していないか、説明が曖昧でないか、再確認します。

実績を作ってから再挑戦

完全に新規の事業で実態が示せない場合、まずは自宅で事業を始めて実績を作り、ホームページやSNSで情報発信してから再度申し込む方法もあります。

まとめ

バーチャルオフィスの審査は、決して形式的なものではありません。犯罪防止と既存顧客保護のため、各社が真剣に審査しています。

審査に通るためには、本人確認書類を完璧に準備し、事業内容を具体的に説明し、迅速かつ誠実に対応することが重要です。正直に申告し、実態のあるビジネスを行っていれば、過度に心配する必要はありません。

審査を恐れるのではなく、信頼できるサービスを選び、真摯に申し込むことで、スムーズにバーチャルオフィスを利用開始できるでしょう。

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